DAIとは?
TLDR
DAIは、米ドルに連動した分散型のステーブルコインで、MakerDAOコミュニティによって運営され、担保となる暗号資産によって価値が支えられています。
- 分散型の安定性 – 担保として預けられた暗号資産の価値がDAIの価値を上回ることで、1ドルの価値を維持しています。運営は分散型の仕組みで行われています。
- イーサリアムベースのエコシステム – イーサリアム上に構築されており、DeFi(分散型金融)プロトコルと連携して貸し借りや利回り獲得が可能です。
- コミュニティによる運営 – MKRトークン保有者が担保の種類や手数料、リスク管理などを投票で決定しています。
詳細解説
1. 分散型の安定化メカニズム
DAIの価値は「担保付き債務ポジション(CDP)」という仕組みで安定しています。ユーザーはETHやWBTCなどの暗号資産をスマートコントラクトの金庫に預け、その価値を上回る担保を提供することでDAIを発行します。例えば、100ドル分のDAIを発行するには150ドル分のETHを担保にするイメージです。この「過剰担保」によって価格変動のリスクを抑えています。担保の価値が一定の基準を下回ると、Maker Protocolが自動的に担保を売却してDAIの価値を守ります。中央集権型のステーブルコイン(例:USDT)とは異なり、DAIのルールや準備金はコードとコミュニティの投票によって透明に管理されています(MakerDAO)。
2. イーサリアムとDeFiとの連携
DAIはERC-20トークンとしてイーサリアム上で動作し、CompoundやAave、Uniswapなどの分散型アプリ(dApps)と互換性があります。主な利用用途は以下の通りです:
- 貸し借り:資産を売らずに流動性を得たり、利息を稼いだりできます。
- 安定した取引ペア:価格変動リスクを抑えた取引が可能です。
- イールドファーミング:流動性プールに資金を提供して報酬を得ることができます。
また、ArbitrumやPolygonなど複数のブロックチェーンでも利用できるため、より広いエコシステムで活用されています。
3. 分散型ガバナンス
DAIの担保種類や安定化手数料、DAI Savings Rate(DSR)などの重要なパラメータは、MKRトークン保有者による投票で決定されます。提案はMakerDAOの分散型自律組織(DAO)を通じて議論・採決されます。例えばDSRは、DAIを保有することで利回りを得られる仕組みで、需給バランスに応じて調整されます。このようにコミュニティ主導で運営されることで中央集権的な管理を排除していますが、アップグレードの調整には一定の複雑さも伴います。
まとめ
DAIは分散型ガバナンス、イーサリアムのプログラム可能性、そして過剰担保によって、信頼を最小限に抑えたステーブルコインを実現しています。市場の変動が激しい時でも価値の連動を維持する強さがあり、DeFiの基盤として重要な役割を果たしています。今後の規制の変化やアルゴリズム型ステーブルコインとの競争が、DAIのDeFiにおける優位性にどのような影響を与えるのか注目されます。